2000年7月3日
7月の声を聞くとともに、各地から山開きの便りも届いて、いよいよ夏山シーズンの幕開き。このところ、梅雨も中休みのようだし、気持ちのいい空を仰ぐにつけ、心は高嶺に飛んで落ち着かない。とはいえ、今年の夏山はいつもと少し様子が違うようなのだ。残雪が20年来の多さだという。たとえば、毎年最初の夏山と決めている白山にしても、南竜ヶ馬場から室堂への3つの登山道は完全に雪の下で、アイスバーンもあって非常に危険な状態なのだという。もしかしたら、いつもテントを張る南竜のキャンプ地もまだ雪に覆われているかもしれない。「今年もそろそろ白山へ」と考えていただけに、これらの情報を警告的に発信している[
白山への道]を読んだときには、正直、助かったという気がした。春先、中国山地の低山をスノーシューでうろうろしていたときには、今年のとびきり豊富な残雪に心から感謝したものだが、2000m級の山岳となると、意味合いが違う。僕のように、アイゼン・ピッケルを使った本格的なアルパイン登山の素養を持たないハイカーにとって、至るところに雪の滑り台が待ち構えている今年の夏山の状態は、危険極まりないものなのだ。白山へはもう少し待つか、登山道をよく選んででかけることにしよう。
もちろん白山だけでなく、夏山の本命である日本アルプスの具合も気になる。そこでいろいろなサイトに当たってみたが、意外にも情報は少なかった。さすがに山岳救助で鳴る富山県警の[
山岳情報]は、一般のハイカー向きの書き方ではないが、雪が大量に残る今年の夏山の危険を警告している。6月末に撮影したらしい写真も掲げていて、去年テントを張った朝日平が、まだほとんど雪山の様相なのには唖然とした。しかし、他のサイトとなると、長野県警・山梨県警とも情報が決定的に古くてどうしようもないし、各山小屋のページも甘い誘い文句に終始していて、登山道のリアルな情報を発信しているところは皆無。(参照するなら[新潟からの山旅]の[
リンク集]が充実している)個人の紀行ページや観光ガイド的なサイトが林立し、一見充実しているように見える山岳関係のウェブだが、安全に直結した実質的な情報という面では、はなはだお寒い状況のようだ。以前Niftyの山のフォーラムに、登山道の情報を集約する会議室があったが、そのような掲示板がウェブ上に設けられ、各山の情報が集まれば、とても役立つページになるのではないかと思うのだが…。