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1999年12月10日

 ウェブ散歩の最大の楽しみは、病膏肓に入った趣味のページに出会えることではないかと思うが、数千枚のCDに囲まれたクラシックファンや自ら歩く書誌と化した漫画ファン、特定の植物の品種・育成に偏執的なまでに通じた園芸マニアなどの並み居る強者に伍して、われら本読みの一族にも一流の趣味者がいて、その博覧強記を惜しげもなく開陳してくれているのは、とりわけ嬉しいことだ。
 パイプの匂いが似合う書斎の読書趣味、ミステリーの分野では、夙に[風読人]が有名だが、もう一方の趣味的読書分野、SFにも、最近めざましいページが出現した。[In Search of Wonder]。これはまぎれもなく、デビューがいきなりハットトリックといった体のハイレベルなニューカマーだ(もっとも、制作者は長らくニフティのSFフォーラムで活躍してきた人らしいから、驚くにはあたらないかもしれない)。
 試みに[海外SF研究のためのリファレンス・ブック初級編 ]を見てほしい。内外のSF手引き書36冊が解題・写真入り(内容とともに書影を重視するは、読書人であると同時にコレクターでもあるミステリーファン・SFファンにとりわけ顕著な傾向)で紹介されていて、制作者のSF愛好が場当たり的なものではなく、SF界のパースペクティブを完全に視野に収めた上での、用意周到なものであることがわかる。また、[テーマ別傑作選]では、SFを8ジャンルに分類して、それぞれの名作を解題・書影で紹介している。現在書名をあげているのは2分野のみだが、分類自体がおもしろく、その説明がSF世界の概説ともなっていて十分に楽しめる。取り上げた作品に未読のものが含まれているのは、今後の自身の読書計画をも兼ねているためということだが、目利きには読まずして傑作の在り処がわかるらしい。