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1999年11月18日

 文芸ページ[ほらがい]に、「二千年紀の文字コード問題」と題する文章が登録された。もともとは「中年初心者向け」のコンピュータ雑誌に掲載するために書かれたもので、「高尚で難解すぎる」という理由で掲載が見送られたため、急遽ウェブで公開することになったらしい。確かに、技術的な解説の部分は僕にはほとんど理解できなかったが、現在の文字コード問題、ひいてはコンピュータ上で使用できる文字をめぐる動きが、大きな観点からまとめられていて、興味深く読むことができた。
 特に、日本で、文字コードとは別に進められている、「大文字セット」を作る4つのプロジェクトについての総括は、とても勉強になった。僕は、そうしたプロジェクトのひとつ「今昔文字鏡」を、ウェブページの欠字埋めに利用していて、膨大な漢字をスムーズに検索し利用できるシステムには、いつも感心させられているが、これらの文字セットが将来文字コードとどう関わってくるのか、その膨大な文字の蓄積をより有効に利用できる日がくるのか、「大文字セット」のこれからの可能性についても知りたいと思った。
 この文章では、最後に「21世紀への提言」として、「文字コード標準体系検討専門委員会」が8月に出した提言が肯定的に紹介されている。そこではユニコードへの大きな流れを認めたうえで、その改良を提案していく方針が打ち出されているらしい。確かに、手許にあるワープロソフトの広告などを見ると、「国際標準のUnicode対応」が誇らしげに歌われていて、ユニコードはもはや逆らえない流れになりつつあるように見える。漢字の無定見な統合やアラビア系文字に関する問題など、ユニコードの抱える問題点については、この文章や[ほらがい]の過去の文章にも詳しいが、ならば今後どのように改良されていくのか。また一方、「大文字セット」を実装した「超漢字」のようなOSは僕らにどんなメリットをもたらしてくれるのか、「大文字セット」が利用できる 「Aprotool TM Editor」のようなソフトは今後増えていくのか。「文字コード」と「文字セット」をめぐる動きには、一パソコンユーザーとして、これからも注目していきたいと思った。