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2005.8.29

 常念の横に登る朝日とその光に映える穂高を眺めてから、テント場へ戻ろうとして振り返ると、離れてきた常念平のシルエットが鮮やかだった。
 まだ光に破られないこのささやかな地平にも、ケルンの鋭鋒が気高く聳えている。
 高山では澄んだ大気や無駄を削ぎ落とした地形、極限の調和を見せる植生のせいで、いたる所で純粋な風景に行き会える。
 一望千里の大観はもとより、足元の岩に地衣類が描きだす模様にも苛烈な美しさがある。
 それをどれだけ見逃さずに感受できるか。
 山で試されるのは体力だけではない。