槍ヶ岳山荘テント場は、目の前に槍の穂がそそり立ち、テントの脇の大岩に上がれば、中部山岳の秀峰が数々見渡せる豪勢なロケーション。 標高3000mの夜明けの大気は幕を隔てても肌に凛と迫り、否応なく目覚めて眺めたご来光に、思いがけず浮かび上がったのは火を噴く浅間山だった。 次々に吐き出されては棚引く噴煙の向こうに黄金の光が迸って、槍から笠へ、長い縦走の一日が明けた。