山道で古い道標と出会うのはいいものだ。 支柱はとうに朽ちて跡形もなく、それでも標識だけが路傍に置かれて、枯れた木肌にかすかに残る文字を読んでいると、古い山岳案内や登山地図をのぞいた時のようなあたたかい懐かしさが湧いてくる。 ゆっくり歩け。 憧れとともに遠い道のりをやってきたあの頃の登山者のように。 木や草や水の輝きをもっと鮮やかに感じながら。