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八ヶ岳・中岳のコル2001.9.24

 この山との出会いはいつも突然だ。
 光岳に幕営して、霜柱を踏んで震えながらご来光を待った朝、黎明とともに思いがけず大きな輪郭が浮かび上がってきた時は、我が目を疑ったし、苦労して悪天の聖岳を越えた翌日、聖平から一登りした南岳で目に飛び込んで来た時は報われた気がした。
 まさに苦あれば楽あり。
 それに、娘と幕営した夏の北岳で、テントから顔だけ出して眺めた朝焼けの雄姿も忘れられない。
 この秋の、奇跡のように快晴が続いた連休に、赤岳めざして登り着いた八ヶ岳・中岳のコルで、またまた不意打ちをくわせたのも、見事としか言いようのないこの山の姿。
 青磁の名品ような青に新雪の輝きをうっすら戴き、このうえなく優美な線を左右に投げかけて…。
 たぶん一生登らない山だけど、ずっと眺めていたい山ではあるな、富士山。