山旅の途中に出会った古い鉱山町の跡。 神社のものらしい崩れかけた石段を登ると、軟体動物のように根を伸ばした木が立ち塞がっていた。 社殿の跡も我勝ちに木々が占拠していて、 「もうこの山はお前たちのものではない」 「もうこの土地をお前たちの自由にさせない」 そんな声が聞こえてくるようだった。