六甲・徳川道のわが名木のひとつにオニグルミの木がある。
河原の広場にのびのびと枝を広げた姿のいい木で、夏には、その下にテントを張る人がいたりする。
5月、枝先に細長い花が垂れ下がり、やがて夏、青々とした実が房のようについて、落果の秋に心を馳せること、年々。
ところがもう何年も、その実を一つたりと拾うことができないのはどうしたことか。
ライバルは小動物か目敏い登山者か、それとも時節を知ってあやまたない山菜愛好家の類か。
早春のタラノ芽同様、連戦連敗。
疑心暗鬼も膨らんでいたこの秋口、思いがけずも全き収穫の時に遭遇した。
枝を揺すってバラバラと落ちる実を、小猿のように喜々として拾い集め、これはそのめでたき記念撮影の1カット。
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