重い荷を怠けて、ツェルトで登った夏山。 早く着きすぎたテント場に仮の宿りを拵えた後は、何をすることもなく、ただ陽射しが熱く、といって、とっておきのビールを開けるには早く、ツェルトの陰に寝転がって、時間を送る。 見上げれば、アルミポールの尖塔の上に、まだ午後のガスに侵されない空。 ツェルトの三角屋根がゆっくり風に揺れて、遥かな山旅の果ての人のように、深々と煙草でも吹かしてみたくなった。