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台高2000.6.4

 台高山脈・池木屋山へと続く尾根は長かった。
 幾つものアップダウンが連続して、最初のピークへの登高と、その先の深い鞍部越えで消耗した体には、なおのこと厳しかった。
 しかし、日が長いことと、盛りに少し遅れたシロヤシオが至るところで美しく散り敷いているのに励まされて歩きつづけた。
 やがて踏み跡の両側に小笹がやさしい緑を敷き始めた。
 みずみずしい緑がシロヤシオの花や椈の繊細な幹や樹間で茫と燃える山躑躅を包んだ。
 山がひときわ念入りに才幹をふるった、祝福されたような風景のなかを、あえぎながら、しかし歓びに満ちて頂きへ向かった。