▲BACK


13

氷ノ山2000.4.2

 但馬氷ノ山は、東側と南側がゆったりしたスロープだが、西側と北側は急峻な斜面で、そのどちらにも椈が多い。
 大斜面をのんびりスノーシューで登ってきて、西の急崖をのぞいてみたら、椈が美しかった。
 木がはっきり幾筋もの列をなしているのは、雪崩が襲う谷筋を避け、尾根筋に懸命に根を張ったからか。
 枝先が刈り揃えられたように見えるのも、厳冬の吹雪のきびしさを思わせる。
 双眼鏡をのぞいてみると、膨らみはじめた無数の芽で、枝々は煙るように赤く、きびしい斜面で冬を乗り切った椈の喜びが、山を染めているようだった。