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 六甲の徳川道には幾つか立ち寄って挨拶する木がある。
 これはその一つ、山柿の大木。
 柿だから小さな実をつけるはずだが、不思議と下を通る山道に落ちたのを見たことがない。
 なによりもこの木がいいのは、柿らしくもなくすっくと伸びた太い幹と古さびた肌の威厳だ。
 農家の藁屋根に似合うあの柿とは違う野育ちの本然のたくましさがあって、見るたびに、気持ちが晴れやかになる。