木津川編


 
『浪華の賑ひ』木津川口

「浪華の賑ひ」木津川口

 キャプション。
 「この所は浪花の津の湊口にて諸国の海舶出入の要津なり。かるが故に廻舟の辨理よからしめんが爲、去る天保三年公の御仁恵に依て長サ八百七十間余の石塘(いしづつみ)を築かせたまふ。是を石波戸といふ。水をよく抱へ蓄へ、諸船の出入すこぶるよし。実に万代不朽にして浪花繁栄の基、公恩の程仰ぐべし尊ぶべし。又此堤は上に数株の松を植つらぬる故に俗に木津川の千本松といふ。洋々たる滄海に築出せし松原の風景ハ彼名に高き天の橋立、三保の松原なども外ならずと覚ゆ。さる程に雅俗ともに舟行して遊観すること平生に絶づ。」

 
『摂津名所図会』から宿檣の図

「摂津名所図会」から宿檣