■神戸空港はやめるべきだ。

地元の人間として一言。神戸市が進めようとしている「神戸空港」計画なるものに、なんとしても納得がいきません。たくさんの人が震災の後遺症で苦しんでいる時に、無残にも液状化が避けられないことが立証された埋め立て工事をまたぞろやって、市民が切に望んだわけでもない空港を無理やり造って､いったいだれのための市政なのか。神戸市長がもつ施策の決定権は、市民一人ひとりの幸福を図るために市民からかりそめに与えられたものであり、今この時に多くの市民が求める声に敢えて背を向けることは、そして一人ひとりの市民のために使われるべき公的なエネルギーを、巨大な企業体が喜ぶ方向へのみ振り向けることは、市民と民主主義に対する明白な裏切りです。神戸市民は怒るべきです。リコールでも何でもやって、産業界なるものと市政上部の“どれあい”のなかで欲しいままにされている神戸の自治を、自分たちが望む方向へ引き戻すべきです。（1997/7/3）

■唖然、呆然、神戸市長選。

前項に関連して今度の神戸市長選挙について一言。神戸市民の約55％を占める社会的腑抜けについてはもはや何も言う気になれません。しかし、わざわざ投票所に足を運びながら現状を肯定した人々については、「なぜ、なぜ」と何度も問いたい気がしてなりません。激震地で今もつづいている不条理。ささやかな生活再建のための助力には不熱心でいながら、海の上に人の住まない島を浮かべるためには湯水の如く金をぶち込もうという、信じられないナンセンス、非論理、犯罪的無神 経。それらは、たとえ山一つ隔たった場所や少しく西に離れた場所にいても、容易に感じるとり、尋常な想像力の持ち主なら市民としての怒りを共有することはできるはずです。わずか50ｍ範囲内の損得勘定でしか物事を判断できない人間というのは､驚きを通り越して不気味でさえあります。（1997/10/27）

■われらのコンピュータに美しい文字を。

ウェブページを作ってみてつくづく感じたのは、日本のパソコンの表示文字（印字文字ではありません）の貧しさです。実に多くの種類のフォントを、整ったスタイルで表示できる欧米にくらべて、我々がわずかに日常の表示文字として利用できるのは、ウィンドゥズ環境においてはＭＳ明朝・同ゴシックのみ、その余は実用に堪えないきたなさです（他に、美しい表示ができるフォントを御存知の方があれば、ぜひお教えいただきたい）。しかもこの２フォントとて、とうてい満足でき るものとは言えますまい。アメリカの大ソフトメーカーが片手間に作った文字を、それを超える国産品がないがゆえに、我慢しながら使い続けなければならない、この国のコンピュータ環境とはいったい何なのでしょうか。ウェブの普及などによって、モニター上の文字は、従来のように印刷のための仮のものではなく、直接読まれるためのものへと、ますますその役割を高めようとしています。にも関わらず、印字文字のみ整え、その画面表示を顧みないフォントメーカーの姿勢は時代遅れといわざるを得ないでしょう。もちろん、アルファベットだけを用意すればいい欧米に比べて、数多くの複雑な形態の 漢字を、現在のモニターの精細とは言い難い枡目を利用して表示しなければならない日本の表示環境の難しさは、重々承知しているつもりです。しかし、それらの不利をなんとか克服して美しい表示を実現しようという意欲が、ほとんどのフォントに感じられないのはどうしたことでしょう。どなたか、せめて明朝体とゴシック体だけでも、日本のコンピュータの標準となる美しい表示文字を作っていただけますまいか。そうすれば、今後モニター上に展開するであろう日本の活字文化は、 さらに豊かで充実したものになるはずです。 （1997/11/15）

■今こそ親指シフト。

「親指シフト」は、間違いなく最も優れた日本語入力法です。にもかかわらず、この国ではローマ字打ちという奇態な入力法が大勢を占め、より自然な日本語入力を可能にした「親指シフトキーボード」は、忘れられようとしています。なぜか？ そこには「親指シフト＝富士通」という図式に縛られ、シェア争いのなかで優れた打鍵法さえ葬りかねない企業の論理 （非論理？）が見て取れます。しかし、打鍵法は一企業の所有物ではなく、本来コンピュータの基礎を支える技術であるばかりでなく、ついには文化の根幹に関わる問題であるはずです。使い手の自由な思考や表現を妨げる打鍵法が、書かれるべき傑作、表明されるべき優れた思想を、将来にわたって萎れさせるということも十分に考えられるのです。もちろん事はキーボードのみにとどまりません。今こそ、僕等は企業に主導された不自然な環境を棄て、自らにとって最も優しいコンピュ ータとの関係を探すべきです。発展途上の現在のハードでは難しい？ それも事実。しかし、僕等には少なくとも「親指シフト」があります。（1998/4/9）